岐路に立つ日本 2013 6 23

書名 2020年石油超大国になるアメリカ
    追い詰められる中国、決断を迫られる日本
著者 日高 義樹  ダイヤモンド社

 シェール革命(シェールオイル)によって、
アメリカは、石油輸入国から石油大国になるでしょう。
 石油や天然ガスの輸出国になったアメリカは、
長年の持病である「双子の赤字」を解消するかもしれません。
アメリカにとって、バラ色の未来があるかもしれません。
 しかし、これは、日本にとって、
ある意味で、危機を招くかもしれません。
 アメリカが、石油輸出国になるということは、
アメリカは、中東の石油に依存しなくなるということです。
 そうなると、巨額の税金を使って、
アメリカ第5艦隊をペルシャ湾に駐留させておく必要はないでしょう。
 将来、アメリカから、
「ペルシャ湾は、日本が自力で守れ」と言われる日が来るかもしれません。
 親米派の政治家は、「日米軍事同盟があるから大丈夫だ」と思うかもしれませんが、
そういう理由で、アメリカの納税者を納得させることができるでしょうか。
 さて、政治的に不安定な中東をあきらめて、
日本は、アメリカから石油や天然ガスを輸入するという方法もあるでしょう。
 しかし、それでは、アメリカに安全保障を依存する日本が、
石油や天然ガスまで依存するとなると、
アメリカ合衆国の51番目の州に近づくでしょう。
 安全保障どころか、エネルギーまでも「アメリカ依存」となると、
「日本は51番目の州」と言っても過言ではありません。
 実は、数十年前に、日本には似たような状況があったのです。
それが、中東の石油危機でした。
その当時、「中東から石油が一滴も来なくなる」と大騒ぎになったものでした。
だからこそ、日本政府は、原子力発電所という選択肢を取ったのです。
 しかし、フランスと違って、
日本政府は、原子力発電所の戦略的な必要性を、
よく国民に説明しないまま、
原子力発電所の設置を推進したので、
国民の間には不信感が残りました。
 フランスの現実主義によれば、
「人間のやることには、事故ゼロはありえない」として、
常に、原発事故が起きた場合の対応を考えてきたのです。
 一方、日本においては、
原発事故はありえないという「原発神話」に陥ってしまいました。
 これでは、原発事故が起きた場合、
フランスと日本では、結果において、大きな違いが出ると思います。
 岐路に立つ日本。
日本は、アメリカ合衆国の51番目の州になるのか。
それとも、中国の属国となって生きるのか。
あるいは、フランスのように自主独立路線を行くのか。
(フランスは核武装した上に、原発大国です)

フランス、国家の独立 2012 4 29

書名 原発大国フランスからの警告
著者 山口 昌子  ワニブックスPLUS新書

 フランスというと、日本人は、何を連想するでしょうか。
観光、ファッション、グルメでしょうか。
私は、フランスというと、政治大国や農業大国を連想します。
 フランスは、核兵器保有国で、
抑止力としての核戦略は、国防政策の要と言えるでしょう。
 冷戦時代には、フランスは、
アメリカ・ソ連から軍事的・外交的「独立」という原則を貫いてきました。
 また、フランスは、アメリカの104基に次ぐ、
58基を擁する原発大国でもあります。
 フランスが、なぜ原発大国になったのか。
それは、「エネルギーの独立」という大原則があるからです。
 この本によると、フランスの産業研究省の報告書の序文では、
「原子力エネルギーは、(中略)
『国家の独立』という問題への回答をもたらす」と述べ、
国家の独立のために原発を設立すると、
明確に、その意図を記しています。
 これは、何のために原発が必要なのか、
あいまいなまま原発を推進してきた日本と対照的です。
 フランスの歴代政権にとって、原発は、
常に「エネルギーの独立」を前提にした「経済問題」であり、
決して「環境問題」たりえたことはないとあります。
 日本とフランスは、どこが違うか。
「フランスも事故がいっぱい」という章には、
評価尺度「一」の事故は、
年間約100件もあるという報道があったと書いてあります。
 フランスの現実主義によれば、
「人間のやることには、事故ゼロはありえない」として、
常に、原発事故が起きた場合の対応を考えてきたとあります。
 対照的に、日本においては、
原発事故はありえないという「原発神話」に陥ってしまいました。
 これでは、原発事故が起きた場合、
フランスと日本では、結果において、大きな違いが出ると思います。
 さて、フランスは、自由、平等、友愛の国と言われています。
「友愛」というと、日本人にはわかりにくいと思いますが、
著者によると、「連帯」という意味に近いということです。
 だから、日本が東日本大震災において、
当初、フランスの援助を拒否したことに対して、
フランス人は、驚き、戸惑ったと思います。
 この本によれば、フランス人は、友人に対して、
まず連帯を表明するのが重要だと考えているからです。
 もうひとつ引用しましょう。
(巨大地震と原発事故を受けて)日本滞在のフランス人の中には、
大使館の勧告を口実に、上司に無断で職場放棄し、
さっさと帰国した者もいた。
 しかし、シャネル・ジャパン社長のリシャール・コラスのように、
帰国を希望したフランス人従業員に対し、
「わが社は、日本の法人だ。
帰国したい者は、辞表を提出してから、帰国せよ」と厳しい態度を示した人もいる。
(以上、引用)








































































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